失恋、倒産、失職、敗北、否定、死別
私達の人生には悲劇はつきものです。

そこで人は思います。
「この悲しみは一生続く。
　私は二度と幸せになれない！」

でも、同じ人は次のようにも
考えています。

「宝くじが当たった人って
　一生幸せなんだろうな」

要するには、私達人間は
感情の持続時間について
ちょっと極端な予測をしているのです。

この人生の悲喜劇をうむ
心の偏りの世界をみてみましょう。

1.　人はネガティブな感情の方を過大評価する

1998年　ハーバード大学の
名物心理学者
ダニエル・ギルバートらの研究チームは
ユニークな研究を発表しました。

57名の有権者の協力を経て
実際の知事選について
投票した候補者の当選状況による
感情の変化をアンケートしました。

現在の幸福度と対立候補への印象
対立候補が勝ったとき1ヶ月後の幸福度の予測
そして、実際に1ヶ月後に電話で
現時点でのリアルな感情をインタビューしました。

結果は面白いものでした。

なんと、自分の投票した推しの候補が
落選してしまった人々は、実際の
当確後は、思ったよりも不幸にもならず
しかも本来はニクいはずの対立候補に
好印象を持ちはじめていたのです。

研究チームは、この手の実験を
さらに5種類、のべ1,000名以上の
被験者に行いました。

テーマも失恋や失職、人格否定、
子どもの死別、就職の失敗など
多岐にわたり試しました。

その結果、人間が持つこんな心の働きを
確認しました。

これは納得できることですね。
「気持ちを【引きずる】」といえば
多くはネガティブな感情が対象です。

2.　ほとんどの人は、ほとんどの時間は、ほとんど幸せ

なぜ、このような現象が
起きるのでしょうか？

逆に考えてみましょう。
なぜ、深いネガティブな感情であっても
実際は長くは続かないのでしょうか？

研究チームは、次のような機能を
説明しています。

身体の傷がいつのまにか
ふさがっているように
心にもそうした修復システムがあるのです。

実際、過去の研究・調査では
交通事故による子どもとの死別
がんの宣告、半身不随の重傷、
強制収容所への連行などの悲惨な事例においても
人は長期的に見れば心の平安を取り戻しました。

実は「一生続く不幸」はないのではないか？
そう思い込んでしまうのは、
心の免疫システムを
忘れているだけではないか？

研究チームは、次のような
希望あふれる仮説を提言しています。

「私は違うよ！」「あの人は違うよ！」と
主張されたくなる人もいるかもしれません。

しかし、不幸を競っても
仕方がありませんよね。

なによりももったいないことは
心の免疫システムを忘れているために
１つの悲劇的な出来事から目が離せなくなり
その後も日々生じる楽しい出来事に
目がいかなくなることです。

それにより、本当に悲劇的な人生に
向かっていってしまうのです。

3.　あなたが問題解決に取り組む姿勢をみせると、恐怖に支配されない未来が見えてくる

さて、ここで疑問がわきます。

なぜ、こんなにありがたいシステムが
あるのに、人は未来の感情を予測する
ときには抜け落ちてしまうのでしょうか？

研究チームは、こんな興味深い
仮説を立てています。

要するに、人はストイックで
がんばり屋な面もあるのです。

「まぁ、いいや」
「どうせ最後はハッピーだから」のままでいれば
たしかにノーテンキで幸せそうですが、
何の学習も挑戦もしなくなるでしょう。

人類がここまで繁栄してこれたのは
そこに甘んじなかったからです。

では、どうすればよいのでしょうか？

最も大切なのは、あなた自身が
なすがままではなく、しっかり未来の
見通しや計画を立てようとすることです。

すると脳は「きちんと問題解決に
取り組んでいるだな」と安心してくれます。
それにより、心の免疫システムの働きも
自覚できるようになり、恐怖や不安に
支配されない未来を描けるようになります。

本日もお読みいただき
ありがとうございました。

ともすれば未来の計画作りは
ロジカルな行為にみえますが、
実は本記事でみたように心の免疫
システムを動かすセラピーでもあります。

そんなセルフ・カウンセリングの視点から
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