「ポジティブとネガティブどちらが好きですか？」
当然、ポジティブですよね。

心理学の世界では、
今もポジティブ感情推しが続いてます。

ポジティブ感情が高いほど、
高収入であり、社会的に評価され、
おまけに寿命まで長くなる！

もちろんそれを裏付ける研究もあります。

でも、はたして「ポジティブ」であれば
すべてがOKなのでしょうか？

「前向きな人」を通り越して
「おめでたい人」になってしまうと
思わぬ罠が待っているようです。

1. ポジティブな人は、報酬と刺激が大好き！

2007年ボストン大学のマヤ・ターミルらの
研究グループは、74名の学生の協力のもと
こんな実験をしました。

歌詞のない音楽を聞いてもらい
A）ポジティブな気分のグループと
B）ニュートラルな気分のグループをつくります。

音楽の力はすごいものです。
わずか8分間の鑑賞で、
両群のポジティブを感じている割合には
15％も差が生まれました。

その後でドット・プローブ課題を
100セット解いてもらいます。

手順は次の３Stepです。

この課題では、Step2で表示された単語が
ポイントです。より興味のある単語が
表示されれば、人は無意識にそちらを見ます。
すると、次のStep3でその単語があった方向に
記号が表示されると、そうでない場合よりも
反応が速くなるはずですよね。

研究チームは、3種類の単語を用意しました。

1　報酬刺激言葉
（直接的な個人の報酬を示す言葉）
　例：「愛」「快楽」「成功」
2　喜び言葉
（安全性や快適性を示す言葉）
　例：「友情」「楽しさ」「明朗さ」
3　刺激のない中立的な言葉
　例：「板」「布」「金属」

結果は面白いものでした。

音楽でポジティブな気持ちになった群は、
「1　報酬刺激言葉」に圧倒的に反応
していたのです。

研究チームは他4つの実験を重ね
こうしたポジティブな気分の人が
個人の報酬につながるポジティブ要素に
偏って目を向ける選択的注意現象を
「ハッピースポットライト効果」と名付けました。

2.「前向きな素敵な人か」「おめでたい嫌な奴か」ポジティブを見直そう

研究チームは、この他にも
次のような報酬刺激言葉をあげています。

「セクシー」「情熱」「冒険」「名誉」「勝利」
「エロス」「欲求」「願い」「休暇」などなど

たしかにこれらの報酬言葉は
エンターテイメントのキーワードです。
高揚して気分が前のめりなときほど
欲しくなるものです。

では、現実の世界ではどうでしょうか？
たしかに、報酬的要素に着目することで
チャンスを積極的につかみやすなります。

でもデメリットもあります。

こうした報酬言葉を掲げた外からのお誘いに
乗りやすくなり、お金や時間を
失いやすくなることです。

さらに最も怖いのが、
「喜び言葉」に目がいかなくなることです。
これにより、仕事自体への「やりがい」
周囲の仲間への「配慮」が薄れてしまいます。

「欲しい」という欲望に限りはありません。
そのうち誰も寄り付かず、
「大好き」も枯れ果て
灰色の人生をおくることになります。

もちろんネガティブになれとは言いません。
ただ、「前向き」を通り越して
「おめでたい奴」になっていないかを
振り返ることは必要です。

とはいえ、１人で気を引き締めるのは
難しいことです。

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