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なぜお金が絡むと、人が変わるのか?人が生後間もなく始める「シンボル化」がその後の人生を決めていた

「お金が絡むと、人が変わる」
私たちが日常的に目にする光景です。

欲張りや利己的になる反面、
責任感やがんばりが生まれる
ポジティブな側面もあります。

お金にはそんなパワーがあります。
では、人は一体何歳ごろから
お金の影響を受けるようになるのでしょうか?

1. お金が絡むと、幼児でも粘り強くなる

2016年、イリノイ大学の
ラン・グエン・チャップリンらは
こんなユニークな「お金」の実験をしました。

参加者は3~6歳の幼い子どもたちです。
「お金」は何か物を買うものだとは
分かるけど、どのくらい必要か
細かい価値基準まではまだ分からない年頃です。

最初の実験では、参加した68名の子どもは
2群に分けられ、各々作業を頼まれます。

A群 25枚の本物のコインを額面ごとにわける
B群 25個のボタンを色ごとにわける

次に、別室で紙に書かれた迷路を
正確になぞってゴールを目指す
テストを受けます。

子どもたちはいつでも好きなときに
中断を申し出たり、助けを申し出ても
良いと指示されました。

制限時間10分間のテストの録画を
分析すると面白いことが分かりました。

事前に本物のコインを扱ったA群の
子どもたちの方が、そうでないB群よりも
粘り強くテストに向かったのです。

プレゼンテーション1

本実験では、別に迷路が解ければ
お金がもらえるわけではありません。
そもそも報酬というものもよく分からない
幼い子どもたちが対象です。

にも関わらず、こんな結果が出たのです。

どうやら、お金を意味するものに触れると
人は無意識にやる気が上がるようです。

反面、お金に触れなかった対象と
比べると、中断や支援の申し出して
人に頼ろうとしなかったとも言えます。

お金がからむと人は1人でやりがるのか?
次の実験はそこを検証したものです。

2.お金が絡むと、幼児でもがめつくなる

同研究チームは、同じ年齢層の
125名の幼い子どもを対象に
拡張的な実験をしました。

今回は、次の3群にわけ
作業をお願いします。

A群 本物の硬貨30枚を分類する
B群 大好きなキャンディ30個を分類する
C群 ボタン30個を分類する

次に、7種類の表情の絵をみせて
作業を終えた今現在の気持ちが
どれに近いか示してもらいました。

次に別室でこんなテストを行います。

まずは、子どもたちが大好きなディズニーの
ステッカーを6枚見せて、「何枚でも
好きなものを取っていい」
と伝えます。

さらに、自分のものしたステッカーのうち
この実験に参加してないお友達にあげるとしたら
何枚あげるか
、たずねました。

一般社会でいえば、お給料から寄付を
するようなものですよね。

結果はあきらかな傾向がありました。

プレゼンテーション1

お金は触れるだけで
たしかに人のテンションを上げ
ある種のやる気にさせる力があります。

しかし、お金をいじった後は
それほどポジティブな感情は
感じていないのです。

さらには、明らかに利己的になり
得られるものに対して、がめつくなります。
まだお金の価値をあまり分からない
3~6歳児でもこうなのです。
大人である私たちは、いったい
どれくらい利己的になっているのでしょうか?

3. 人類は「共同体」で生存し「市場」で繁栄した。

なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
研究チームは「共同体と市場」という
観点から考察をしています。

まずは、「共同体」です。
人類は、家族を最小単位として
常に仲間の輪のなかにいました。
そこではすべてが顔見知り
お互いに資源を何の条件もなく
共有していました。だからこそ
人類は飢餓を乗り越え、今日も存在しています。

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最も顔見知り同士の循環には限度があります。
やがて、人類はさらなる資源を求めて
共同体の外に向かっていきます。
そこで会うのは「顔見知り」でない存在です。

最初は闘争ばかりだったでしょう。
しかし、やがてお互いの被害を抑え
利益を確保するために「交易」をはじめます。
もちろん「顔見知り」の共同体として
密接な関係になればすむ話です。
でもそれには、時間がかかります。

そこで、とりあえず見知らぬもの同士でも
安全に交易ができるように、考え出されたのが
「お金」という交換手段であり、
「市場」という一定の場所でした。

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こうして人類は繁栄したのです。

4. 人は世界を「シンボル(記号)化」してみている

今日、私たちは「市場」なしには
生きられません。そのため、人生の早い時期から
この「市場」を認識しはじめます。

その一貫として「お金」の存在を知ります。
ただの顔の描かれた紙や丸い金属が
いかに生活に不可欠かその「意味」を
認識する
のです。

発達心理学者のスタンリー・グリーンスパン
スチュアート・シャンカーは、この過程を
「シンボル化(記号化)」と呼んでいます。

すべての動物は問題解決のために生きています。
赤ちゃんが泣いて母親にアピールするのも
「飢える」という問題を解決するためです。

ただし、人間はより良く問題を解決しようとします。
ミルクが欲しくなれば泣くのは反射的行動です。
赤ちゃんはより母親が素早く気持ちよく
ミルクをくれるように、様々な工夫をします。
泣くだけではなく驚いたり、笑ったり
あるいは手を伸ばしてみたり。言葉を話す前から
全身でより良い解決策をさぐっているのです。

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この時役立つのが、シンボル化(記号化)です。
問題を解決するには、対象を明確にする必要があります。
そこで対象の存在の意味を考えはじめるのです。

たとえば、目の前の母親は
ただの髪の長い物体ではありません。
自分に食事を与え、終始を面倒をみてくれる
「愛の存在」とシンボル化して接し方を考えるのです。

5. あらゆる「生きづらさ」の根本にある「誤解」とは?

とはいえ、いつでもシンボル化が
起きるわけではありません。

スタンリーらによれば、シンボル化は
「カタストロフィック(破局的)な感情経験」が
必要とされています。

すなわち、大きな怒り・恐怖・欠乏感・
喪失感などを憶えた瞬間、人は立ち止まり
知覚と行動を切り離し、そこに
イメージで意味付けをします。
これが「シンボル化」の過程です。

赤ちゃんにとっては、母親に無視され
ミルクを与えられないことは
破局的な感情が芽生えた瞬間でしょう。

生後9ヶ月~11ヶ月までの間には
赤ちゃんは相当複雑なシンボル化が
できるようになるといいます。

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子どもは成長と同時に徐々に
人生の登場人物が増えていき
多くの社会関係が生まれていきます。

すると「破局的な感情体験」の内容も
変わってきます。

友達から仲間はずれにされること
年上の先輩から屈辱されること
先生から低評価を受けること
採用試験やテストで落第すること
報酬の査定が低いこと

これらはすべて「注目してほしい人に
無視される」体験であり、本能的には
「飢え」を意識させるものです。
(社会的に評価が低いことは、
市場に入れずお金も手にできないと
とらえてしまいます)

すると、私たちは自分を守るために
「シンボル化」をし、同じような状況に
次に会ったときの問題解決法を計画します。

「こういう人はこういうタイプなんだ。
 次に同じような状況になったら
 必ずこうふるまおう」

でも、ここで問題が生じます。

多くのケースは「たまたま」か
「やむをえなく」起きたことです。

自分の訴えを無視してミルクを
くれなかった母親は、自分を
もう愛さなくなったわけではなく
単に別の用事があっただけです。

しかし、やっかいなことに
「シンボル化」のせいで
「自分はもう愛されなていない
もっと愛されるように努力しよう」と
問題解決を計画していまうのです。

これがあらゆる「生きづらさ」の根本です。

6. 感情体験を書き換えて、未来への力に変えよう

でも、安心してください。

すべての原因は、自分の感情体験の
捉え方にあるのです。相手の事情や意図を
知るのは限度があります。ある意味、
あらゆる「シンボル化」は「思い込み」で
できているのです。

だからこそ、これからの自分の未来に
役立ちそうにない「シンボル」は
その意味付けを変えればいいのです。

とはいえ、ここでも問題があります。

ここまでお読みになって分かるように
私たちの「シンボル化」は
相当人生の早い時期から始まっています。

どの感情体験が原因で、
どんな意味付けをシンボル化したかを
思い出すのは並大抵のことではありません。

ただ書き出したりするだけでは
限度があるでしょう。

そこで大切なのは「体験」という部分です。
文字通り、それは全身をもって感じていたのです。
そうであれば、「身体に聴く」という方法が
有効といえます。

もし、あなたが過去にさかのぼり
こうした「感情体験」を思い出し
シンボルの意味付けを望むままに
書き換えて、未来に向かうエネルギーに
変えたとしたら、こちらのオンラインセミナーで
その方法をお伝えしたいと思います。

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