2020年9月14日。
豊かさの歴史に新たな1ページが加わりました。

大富豪チャック・フィーニーが
存命中に、自分の財産の
寄付活動を完了させたのです。

死後、財産を寄付にあてる富豪はいます。
財産ができたら慈善活動を
望む一般人もいます。
しかし、いざお金が入ると
手放したくなくなるものです。

なぜ、フィーニーはこうした偉業を
達成できたのでしょうか？

1. 小さなアパートに住む大富豪

彼は空港の免税店経営で
富を築いている最中から
実に40年間総額80億ドル以上を
世界中に寄付してきました。

そして驚くべきことに、
その寄付活動を終わらせる日
（財団の解散日）をあらかじめ
宣言し、守り徹したのです。

その日にむけ、彼は妻と
サンフランシスコ市内の
小さなアパートに居を移し
ひたすら富の分配に努めました。

その姿勢は、投資の神様
ウォーレン・バフェットにも
大きな影響を与え、
「資産の半分を寄付する」
寄付誓約宣言活動の発端にもなりました。

2. 期限が不可能を可能にする

「デッドライン」「納期」「締切」
いずれも良い響きはありません。

しかし、フィーニーの偉業は、
善意に任せずきちんと
寄付活動の終了期日を明言し、
「期限」を切ったからこそ
成し遂げられたのです。

「期限」については、2020年に
興味深い発見がありました。

サザンクロス大学の
クリスチャン・スワン達は、
期限を設けることで、いわゆる
「ゾーン」に入りやすくなるという
調査結果を発表したのです。

「ゾーン」とは、完全な集中・忘我の状態で
自己ベスト以上のパフォーマンスが
期待できるものです。

アスリートであれ、
アーティストであれ、
ビジネスマンであれ、
誰もが望む境地です。

従来までは、「ゾーン」に入るには
自然に身を任し切る
「フロー（流れ）」状態に
なることが目指されていました。

とはいえこれは難しいことです。

しかし、研究によれば
重要な成果が目前に迫っている
締め切り前の必死の努力や集中も
「ゾーン」に入る
一手段であることが分かったのです。

これを「クラッチパフォーマンス」といいます。

研究チームは、
「クラッチパフォーマンス」を
より起こしやすくするために
次の工夫をすすめています。

たとえば、
「自己ベストを更新するためには、
最後の1キロを5分以内で走ること」
といった感じです。

拍子抜けするほどシンプルです。
だからこそ誰でも実践できます。

幸い職場でも、学校でも、家庭でも
「期限」には事欠きません。
クラッチパフォーマンスの練習は、
毎日できるわけです。

ぜひ取り組んでみてください。
スゴいあなたへの最短ルートは
「締切」にあるのです。

クラッチパフォーマンスが
最も体感できるのが「速読」です。
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参考文献(P.69)

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