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人は15秒間の知覚情報を再編集して、変化を捉えていた!「まとめ」をしてくれる人が高評価な科学的理由

人は「まとめ」が大好きです。

そこだけ読めばたいてい分かる
章末の要約は、学生時代のみならず
大人も欲しいものです。

プレゼンでもスピーチでも動画配信でも
最後に要点を振り返って確認してくれる
話し手は評価されます。

これは別に手を抜いてるわけでもありません。
実は、私たちの脳はそもそも「まとめ」で
世界を認識しているのです。

1. 人は「じわじわ変化」にだまされる!?

2022年、カリフォルニア大学バークレー校
マウロ・マナッシらは興味深い研究を
発表しました。

70名の参加者の協力のもと
スクリーンに投影された
モデルの顔の静止画をみてもらいます。

参加者は、この顔のモデルの
年齢を約20.5歳と推測しました。

研究チームは、次に同じモデルの顔に
モーフィングをかけます。

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条件A 老化の変化をつける

同じモデルを6歳ほど若返らせたと
認識できる顔画像(推定14.6歳)から
先ほどの静止画と同じ顔に変化させた。

条件B 若返りの変化をつける

同じモデルを5歳ほど老化させたと
認識できる顔画像(推定25.5歳)から
先ほどの静止画と同じ顔に変化させた。

変化にかかった時間は5秒です。

しかし面白いことに、
静止画では20.5歳と推測した顔が、
老化をさせた条件Aでは【19.1歳】に
若返りをさせた条件Bでは【22.1歳】と
それぞれ違った印象を与えていました。

2. 私たちが安定して世界が見える脳のトリック

なぜこんな現象が起きるのでしょうか?

私たちの目は常にカメラのように
正確に毎瞬毎瞬、世界をとらえている
ように感じます。

でもそれは私たちの脳の
トリックの1つ
なのです。

人の眼に光が入ると、それは
眼球の底にある網膜で焦点を
作ります。

網膜には光を受け止める視細胞があり
光を電気的な反応に変換して
脳に届ける準備をします。

視細胞は、錐体(すいたい)細胞と
桿体(かんたい)細胞があります。

このうち色(赤・青・緑)や形を
識別するのが、錐体(すいたい)細胞です。

錐体(すいたい)細胞は、
どこにでも存在するわけでなく、
中心窩というわずか直径1ミリ程度の
網膜上のくぼみに集約されています。

私達が常に世界がはっきり見えているのは
絶えず眼球を微動させ(サッカード運動)、
見たいものの像をこの中心窩で瞬時に
とらえる作業(固視)をしているからです。

参考動画

とはいえ、私たちが周囲を見渡してみても
チカチカすることなく、
目に映る世界は安定していますよね。

ここで登場するのが
「連続野」と呼ばれる
脳のトリックです。

研究チームは、本実験のような
1つの対象の小さい変化については
人はリアルタイムではなく、
過去15秒間に網膜に
投影された映像を再編集して
脳に届けていると分析しています。

そのためリアルタイムの正確さは
犠牲になりますが、神経的な負担が
大幅に減り、さらに安定したスムーズな
知覚や記憶を確保することができます。

本実験では、参加者の脳が
モデルの顔の年齢変化を
リアルタイムではなく、過去の老化・
若返りした顔からの変化を「まとめた」
印象としてとらえていたため、
出発点の印象により年齢の推測に
違いが生まれたのです。

3. 相手と相手の脳のために「まとめ」をしてあげよう


いかがでしたか?

世界は常に変化をしています。
しかしいくら目を凝らしても
私たちはそのわずかな変化を
リアルタイムにとらえることはできず
「まとめて」するしかありません。

だからこそ、先回りにして
それまでの変化を「まとめて」
くれる伝え方は、脳の仕組みに
とても合っているのです。

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「要するに一番伝えたいことは・・・」
「あなたにしてほしいことだけ
 伝えると・・・」
「一番言いたいことは・・・」

一方的な伝達をする場では
節目節目にこうした言葉をはさみましょう。

相手はとても安心して
あなたの話を受け止めてくれますよ。

本日もお読みいただき
ありがとうございました。

私たちは自分たちが
感じたこと・見たことを
「まとめる」時間は意図的にもつ
ことはあまりしません。そこに
あえて「まとめ」の機会を作るのが
セルフ・カウンセリングです。
その手法に興味のある方は
こちらのオンラインセミナーに
お越しください。

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