「あの子をみならいなさい！」
「まずは素直にできる仲間を真似なさい！」
「成功の秘訣はモデリングだよ」

実家でも、学校でも、職場でも
そして研修やセミナーでも
結局言われるのはこの一言です。

「できる人を真似なさい」

反論の余地のない正論です。

でも、正直言って
いくら優れていても自分に近い人は、
なぜか真似したくない気持ちが
起きることがありますよね。

もちろん私も今でもあります。
今日は、そんな
「モデリングの真実」に
迫っていきましょう。

1.　人は自分の延長線上にいる人にしか憧れない

1997年、トロント大学
ペネロペ・ロックウッドらの
研究チームは、考えさせられる
研究を発表しました。

研究チームは、65名の会計大学の生徒の
協力のもと、大学1年と大学4年で
同期の模範生（スーパースター）
を知ったときの自己評価の違いを
調査しました。

参加者は、ある大学4年生について
書かれた学内新聞の記事を読みます。
その記事の主人公は、革新的な発表で
学部長から表彰された優等生です。
その上、容姿端麗・スポーツ万能・
地域活動に熱心ときています。

いわば典型的な憧れの模範生です。

人は憧れを持つと、それまでにない
インスピレーションを感じて
改めて自分の目標や野心を見直し
「もっと頑張ろう」と奮起します。

もっとも人は、誰でも彼でも
優れた人ならば憧れるわけではありません。
対象の優れた領域が自分の目指している
領域と関連していると、自分の中で
位置づけられたときに限ります。

では、本実験ではどうでしょうか？

いずれも会計学の学生である点から
全員が対象の模範生に憧れを持つ
可能性があります。

しかし、結果は意外なものでした。

2.　自分と近すぎるスターは、モデリングする気になれない

参加者は11段階で自己評価と
対象の模範生の評価をつけました。
結果は次のとおりです。

いかがですか？

1年生の方は、目を輝かせ
強い憧れとインスピレーションを
感じていました。

同時にとった自由記述の
アンケートでもその気持ちが
あふれていました。

「彼はとても努力家で、
　自分と親近感をおぼえました」
「自分も表彰されたいです」
「まずは今のクラスでトップをとります！」
「CAになる目標が強まりました！」

自分の延長線上にいるスーパースターである
模範生の影響を受け、新しい目標がうまれたり
実際の行動の変化を計画していますね。

他方、模範生と同期の4年生からは
素直な憧れは見られませんでした。

インスピレーションを受けた割合の
低さがそれを物語っています。

特に興味深いのが、自由記述の回答です。

「彼と自分は違う人間だ」
「こういう1人を取り上げる記事って
　あんまり意味を感じない」
「自分は自分のやり方がある」

輝かしい同期に落胆と失望を感じ
みな面白いように自己防衛的に
なっていたのです。

当然、この模範生が実在したとしても
彼を真似たり、教えを乞おうとするのは
1年生ばかりでしょう。

3.　スーパースターは、毒にも薬にもなる

こうした現象は、あまり知られていない
モデリングの真実です。

傍から見れば、同じ環境で
飛び抜けている人を真似すれば
一番成果が上がることに
疑いの余地はありません。

しかし、そうした存在を見ると
今の自分との落差が劣等感を刺激し
萎縮してしまいます。
そして、なんだかんだ言って、
自分とは違う存在として、
避けてしまうのが人間です。

面白いことに、次の3つの
パターンの場合は同世代の成功で
あっても劣等感を感じないそうです。

たしかに、スポーツや芸能界での
同世代の活躍は、変な劣等感なく受け入れ
素直に喜び「我がこと」のように
誇らしさすらおぼえます。

実験をふまえ、研究チームは
こんな含蓄ある言葉を残しています。

4.　素直にモデリングするためにやるべき2つの準備
　

ここまでを踏まえて、
私たちはどのように
考えればいいのでしょうか？

本実験を見てもわかるように
「自分とあの人は関係ない！」
「オレはオレのやり方でいく」と
つい自己防衛的にさせられる成功者ほど
一番学ぶことがありそうです。

当然ながら、こちらは勝手に
劣等感を感じているだけです。
素直に敬意をもって教えを請えば
喜んで教えてもらえることでしょう。

とはいえ、やっぱり抵抗を
おぼえる方もいると思います。

そんな時は、本実験の
1年生と4年生くらい
年齢や実績がかけ離れた人物を
モデリングしましょう。

そうすれば、いたずらな劣等感や
プライドが頭をもたげることなく
素直に学ぶことができるでしょう。

ぜひ参考にしてくださいね。

本日もお読みいただき
ありがとうございます。

本記事のように「人からすすめられたり」
「押し付けられたり」する模範は
どうしても抵抗を感じるものです。

そこでおすすめなのは、
自分でモデリングするべき
模範対象をみつけることです。
「夢を叶えている人を見つける」ことを
まずあなたの夢にしましょう。

その探索に役立つのが、日々の
夢や目標を管理できる「宝地図手帳」です。
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