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人はなぜ学習するのか?生きる力を育む3つのフィードバックの質問とは

こちらの記事が好評でとても
嬉しく思います。

1989年、アリゾナ大学の
リチャード・キニアは、
20歳以上の人に次の質問をしました。

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答えは予想に反して
次のとおりでした。

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すなわち、どの世代においても
「もっと学習をしておけばよかった」と
後悔を覚えていたのです。

なお、1953年と1965年に
おこなわれたギャロップ社の
調査でも1位は、同じく
「学ばなかった」後悔でした。

では、そもそも「学習」とは一体
何なのでしょうか?

1. 生物は○○するときにだけ学習する


「『学習』とは何か?」
「人はなぜ学ぶのか?」
紀元前からある質問です。

1972年、この質問への決定的な
答えが発見されました。

フィードバック

アメリカ人研究者の
ロバート=レスコーラと
アラン・ワグナーによるものです。

具体的には次のモデルになっています。

フィードバック

端的に言えば、学習とは
「予測できない」を減らすことであり
生き残る力そのものなのです。

2. 学習しないと過去のコピペで生きることになる


逆に学習をしないと人は
どうなるのでしょうか?

興味深い実験があります。

2005年、西宮協立脳神経外科病院の
小山 哲男先生らの研究チームは、
画期的な発見を発表しました。

10人のボランティアの協力を得て
痛みについての期待と実際の知覚に
おける脳の活性化を調べました。

参加者は、46℃,48℃,50℃の順に
痛みを伴う熱刺激を受けてもらいます。
温度ごとに刺激を受けるまでの時間が
異なります。

刺激温度が46℃、48℃、50℃と
高くなるにつれ、期待間隔は
7.5秒、15秒、30秒と長くなっていきます。

研究チームは、ここで
ある仕掛けをしました。

全30回の試行のなかの一部で、
あえて48℃の刺激を予告する
15秒の間隔を提示しておきながら、
実際は50℃の刺激を与える回を
作りました。

「フェイント」ですね。

すると衝撃的なことが起きました!

48℃の刺激がきているとばかり
「期待」していた参加者全員は、
実際には50℃の刺激を受けても、
予告どおり50℃の刺激を
与えた場合に比べて
平均【28.4%】も痛みを
少なく感じていたのです!


さらに面白いのは、
そのときに測定された
参加者の脳の動きです。

痛みの期待値の操作により
一次軟骨皮質、島皮質、ACCなどの
痛みに関連する脳領域の活性化が
急速に減少していたのです!

とても奇妙なことです。

紛れもない50℃の刺激という
客観的事実に直面していながら、
その瞬間、参加者全員は
自分たちが期待した48℃の刺激の世界に
存在していたのです!

私たちの知覚の表現は、
過去の経験から得た情報が
土台になっています。

知覚・情動を司る「扁桃体」と
記憶の想起を司る「海馬」は
脳内では結合している位置にあり、
痛みを感じるといずれの領域も
活性化をします。

つまり過去の感情体験の解釈から
生まれた「期待」が、そのまま
今現在の世界の「感じ方」を
つくりあげているのです。

すなわち、学習しないことは
過去のコピペで生きることです。

この点、「思考は現実化する」と
喜ぶこともできるでしょう。

しかし、現実の状況を正確に
とらえられないことは、
最悪死につながる大問題です。

3. 最も高度な学習の証明 「天気予報」


では、逆に最も上手くいっている
「学習」モデルとは何でしょうか?

それが私達が今日もお世話になっている
「天気予報」です。

現在残されている最古の天気予報は
1869年9月1日、シンシナティで発行
された次のものです。

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1965年には、今もおなじみの
降水確率○%という予報が
開発されました。

さらに興味深いことに
降水確率の精度は年を追うごと
どんどん上がっていきました。

1966年から1978年の12年間で
「36時間前の降水確率」の予測の
正確性はなんと2倍になっていたのです。

昨今の異常気象でややブレはあるものの
降水率も気温も的中率は上がり続けています。

多くの予想が外れる中で、頼もしい限りです。
では、なぜこんなに予想が当たるのでしょうか?

一言でいえば、「フィードバックのレベル」です。

天気の予測は、ご存知のとおり
地球の軌道上にある気象衛星から行います。

気象の原因となる波や雲の動きを
その上から大きな視野で俯瞰できるのです。

さらに、大切なのが次の点です。
人間の認知システムの研究家として名高い
クリストファー・チャブスらのチームは
こう分析しています。

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天気予報の結果は、遅くても
明日にはわかります。
誰でも降り注ぐものなので
隠しようもごまかしようもありません。

だからこそ、真剣に結果を受け止め
努力を重ねるほかないのです。

まさに理想的な学習を毎日しているのです。

4.学習の決め手 3つの「フィードバック」


学習の質は、「フィードバックの質」です。

では、そもそも「フィードバック」とは
何でしょうか?

2007年、メルボルン教育研究所の
ジョン・ハッティらは決定的な
レポートを発表しました。

フィードバックとは、簡単に言えば
自分のパフォーマンスや理解について
ある媒体から提供される情報です。

提供先は、教師でも、仲間でも、両親でも
本でも、あるいは自分の経験でも構いません。

ただし、良いフィードバックには
1つの条件があります。

それは、「現在の理解と目標との間の、
不一致を減らすことにつながっているか」
です。

ただ相手を褒めたり、目標確認する
だけでは意味がありません。

人はただでさえ、自分を過大評価して
現在点に甘んじていたいものです。

「ある課題をできない人ほど、
 自分を他人より優れていると思い込み
 上手くこなせる人ほど、
 自分は他人より劣っていると思っている」

ダニング=クルーガー効果と呼ばれる
現象もあります。

ジョン・ハッティは、
約18万件の学習事例の
メタ分析から、良いフィードバックに必要な
3つの問いかけを体系化しました。

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この問いかけは、課題と達成への道のり
とるべき行動への自己評価を見直し、
やる気や関わりを強めてくれます。

その効用は、学校の成績を
上げることのみならず
人生のあらゆる場面で使えます。
まさに「巧みに生きる」ための問いかけなのです。

生きることは学習です。
より良い答えは、常に自分の外にあります。
それを見つける方法が「フィードバック」です。

学び直すことは生き直すことです。
そのためにはまず上記のような
適切な「フィードバック」をしてくれる
環境を探してみましょう。

本日もお読みいただき
ありがとうございました。

とはいえ「フィードバック」は
自分の思い込みや誤りに向き合う
痛い行為です。指導者はそれを
理解している必要があります。
そこで身につけることを進めるのは
「カウンセリング」の力です。
まず相手が心をオープンにするときに
何をすればいいのか?興味のある方は
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参考文献(P262~267)






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