「チェックリスト」と聞いて
どんなイメージがありますか？

細かい？面倒くさい？非現実的？
あるいは、かっこわるい？

あまりスマートなイメージはありません。
そこで本日はそのイメージを変えてみせます。

1. ベンチャー投資家の7つのタイプとは？

1999年、クレアモント大学院大学（当時）
のジェフ・スマート博士は、こんな
ユニークな研究をしました。

48団体から51名の
現役ベンチャー投資家を集めて、
彼らの投資判断方法を調査したのです。　

無名の起業家に投資することは
高いリスクを伴います。
そのためベンチャー投資家は、
斬新な起業アイディア以上に
それを実行する起業家自身に着目します。

とはいえ、人を見定めるのは困難です。

1988年、当時全米最大の
ベンチャー投資会社の代表であった
デビッド・グラッドストーンは
実に【57％】の案件で起業家に対する
人的評価が達成できていないと述べました。

人の見定め方に絶対解はありません。
人それぞれにやり方があります。

博士は被験者に質問表と面接により
彼らの起業家を見定めるアプローチ法の
「流儀」を分析しました。

結果、次の7つのタイプに分かれました。

彼らは、徹底したチェックリスト主義者です。
過去のデータ収集と
分析を丁寧に体系化し
それを毎回、忠実にチェックします。

彼らは、一瞬で起業家を判断します。
分析よりも、長年の経験に
基づく直感に任せます。

彼らは、とにかく情報を集めては
時間をかけて「いじります」。

彼らは、投資候補先の
擬似的なメンバーになって
実際の会議に参加したり、
顧客訪問すら同行したりします。

彼らは、まるで証人尋問のように
公の場で起業家に積極的に質問します。
ときには難問を突きつけ、
試すこともあります。

彼らは、候補となる起業家を
審査・評価するよりも、好かれ
気にいられようとするタイプです。

彼らはそもそも起業家の人的評価は
不可能であると考えています。
そのため、良いアイディアに投資し
業績が上がらなければ、機械的に
経営者を交代させる方針をとります。

あなたはどのタイプに近いですか？
さて、面白いのはここからです。

2.チェックリストは、直感に勝る

研究チームは46件の投資案件について
各タイプ別ごとの実際のIRR
（投資リターン率）を調べました。

結果は次のとおりでした。

ご覧のとおり、直感ではなく
チェックリストに忠実に従った
航空会社の機長タイプが
抜群の成績をおさめています。

とはいえ、残念ながら多くの
ベンチャー投資家は真逆の
美術評論家タイプのアプローチを
採用しています。

まずチェックリストを丁寧に
検証する時間を優先すること。

それにより自分の直感や
相手への私情に左右されて
判断がブレることが減ります。

その威力は見ての通りです。

私たちは完璧にはなれません。
大切なのはいかに完璧に近づくかです。

そのために必要なことは
「当たり前のことを
　当たり前でないレベルで行うこと」です。

チェックリストはそれを
可能にしてくれます。

ぜひ、仕事に日常生活に
取り入れてみてください。

有効なチェックリストが作れる人は
自分や仲間の優先すべきことが
分かっている人です。

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参考文献（P.195～198）

参考論文